「で、何が?」
「何がじゃなくて、クリスマス、どうするの?」
「クリスマスねぇ…。」
「そうだよ、1年に1度だから、それなりにゴージャスに行かないと。」
「ゴージャスって、そんなに拘るか?」
「こーだーわーるーよっ!」
「はいはい…。飯でも食いに行くか?それとも誰か呼んでパーティーとか…」
「ダメ、2人きりが良いの!」

これは、元芳の兄、誠二とその彼女の高端早苗の、ちょっとアレげな小説。

「おう拓也、元気してるか?」
『元気してるかじゃねーよ…。朝っぱらから電話掛けるなよ…。』
「いや、折り入って頼みがあってさ…。」
『何だよ…。オレはナショナルの見すぎでぐったりなんだよ…。』
「いや、S2000弄ってくれない?」
『何?買ったのか?』
「あぁ、まぁね…。」
『あっそ、彼女隣に乗せる気か。』
「お前は彼女とはどうなんだ?」
『いねぇっつーの…。』

…。初音島内 HAFガレージ
「で、何でこんなん買ってきたんだ?」
見るからにドンガラなボディ。
「しかもコレフレーム歪んでないか?」
八重も呆れ顔。
「いやー…それしかなくて…。」
「それしか無くてって…。」

…。
「で、どうするよ八重?」
「そうだな…。やっぱりデート仕様だからそれなりに格好いい方が良いな、で、ガルウイング積んで、フルエアロかまして…」
「エンジンは…。」
「アレか…。」
と、目をやったのは余っていたRB25。
「アレ積むか…。」
その日から、徹夜が始まった。
飯はことりが、元芳宅で3人揃って就寝、元芳とことりが抱きついたり何だり有ったが…。
「あー、だるだるだるー…orz」
「だが何か足らんな…。」
サフからベイサイドブルーへ。それでもまだ足りない模様。
「そうだ、グラフィック入れれば?」
「それだ!」
2人揃って吠える。
「うちの知り合いに良いの居るぜ、こんなの。」
「おぉー…。でもオレも負けてないんだがな…。」
「私が彼女だったらこっちが良いな。」
と、元芳の方を指さす。
「つっても、これオレが考えたんじゃないんだよね。」
「えー…。」
「まぁ、コレだ、コレ張るぞ。」
と、早速電話を掛けてデザインを発注。

…。
「おぉー、良いじゃん。」
「良いじゃんって兄貴、こんなん持ってってふられるなよ?」
「ついでにぶつけないと有り難いんだがな…。」
「で、金は?」
「はぁ?金取るのかよ!?」
「当たり前だろ!」
「…逃げる」
「あ、コラ兄貴!」
「…取り敢えず飯だ、ことり。」
「はーい。」
「オレ肉食いたい。」
「唐揚げで良い?」
…。
(兄)
24日、東京駅。
「お待たせ。」
「お待たせって…、何だか格好良いんだけど派手…。」
「派手だよねー、オレの弟がやったんだよ。」
「まぁ…格好良いからいっか。」
「ささ、乗って。」
「うわ、上に開くんだ。」
「これも彼奴が仕込んだのさ。目立つでしょ?」
「…素敵だな、その弟さん。」
「弟かい…。」
「で、今日は何処行くの?」
「お台場から、新宿行くか。」
「良いねぇ。」


カクンっ
「かっこわるー…。」
「何してるの?後ろ詰まってるよ?」
「あ、あぁ…。」

…お台場。
「人多いね〜。」
「だな、ちょっと時間考えれば良かった。」
「そうだ、服買ってよ、私も何か買うから。」
「あ、あぁ…良いよ。」
「やったぁ!」

「どう?」
「さっきの方が似合うかな。」
「えー?そう?」
「まぁ、さなが着るからどれも良いよ。」
「何?口説いてるの?」
「いや、そのー…。」

…。
(弟)
その頃、思いっきりフリーなこの2人。元芳弟とことり。
「こっちの方が良いよね…。」
「そうだな、アレとはどう?」
「あー…。これとこれの方が良いよね。」
「それそれ、それが良いよ。」
何故か誠二と同じ店にいた。
「じゃ、買ってくるよ。」

…。
(兄)
「あれ、兄貴。」
「拓也!何でここに居るんだよ!」
「何でって、たまたまだけど。つかコミケの帰り。」
「と、とにかくだな、知らない振りしろ…。」
「あれ、誠二君どうしたの?」
「い、いや別に…。」
「なら良いんだけど。」

…。
(弟)
「ことり、兄貴がいた。」
「えぇ!ホント?」
「うん、そこ。」
「ホントだ…。隣は彼女さん?」
「そうだな、まるで俺達みたい。」
「でも彼女とかってのはないよね…」
「有っても良いんだけど?」
「えぇー…。」
「とりあえずつけるか…。」
「それはまずいよ…。」
「まずくない、任せとけ。」
「しょうがないなぁ…。」

…。
(兄)
「どうする?」
「この先の店でお茶しない?」
「いいねぇ。」

「お、このケーキ美味いな。」
「でしょう?これ並ばないと食べられないんだよ…」
「へぇー…。」


(弟)
「やっぱり幸せそうだよね…。」
「兄貴もやるな…。」

(兄)
「ゲーセン行こう!ゲーセン。」


(弟)
「それ取って欲しいなぁ…。」
「これ?取れるかな…。」
「もうちょっと…。」
「行け!行け!」


(弟)
「湾岸コレで何周目?」
「5周目。既に1000円かかってるんだが」
「じゃあ乱入するね。」
「マジか」
「マジです」
がしゃこーん!(違)
「で、それ…。」
「8だよ?」
「あっそ…。」
「でもR34も良いんでしょ?」
「良いよ…。かなりね」

…。
(兄)
「車ゲーやりたいなー…。」
「ん、構わないよ。」

…(げ、拓也…。)
「と、とりあえずオレが行くわ。」
「え?アレに?」
「あぁ…。」
と、2台空いている所に、更に乱入者。

(弟)
「お、ちとせ。」
「乱入させていただきますね、元芳さん。」
「おKwwwwwwww」


(兄)
「元芳?」
「き、気のせいじゃないか?」
「汗凄くたれてるけど…暑いの?」
「いや別にそんなことないでしゅよ…。」
「しゅよ?」
「と、行ってくる…。」
(ダメだ、此奴ら潰す…。)

コース 新環状右周り、BGM destiny black out
カード名ちとせ インプレッサ(GDB)馬力:720/B
カード名ことり SE3P RX-8 馬力:720/B
カード名タクヤ R34 GT-R 馬力:700/B
カード名せいじ R32 GT-R 馬力:740/B


前方3台ドンパチマッチ。
誠二出遅れる。

大井Uターン、一気に拓也引き離しに掛かる。
後方再びドンパチ。

潮留付近。誠二一気に前へ。
しかしS字で突っ込む。
とりあえず拓也TOPゴール、ことり2位。


(兄)
「弱い…。」
「し、仕方ないんだ、相手が悪かった…。」
「相手って、女性に負けたのに?」
「ザクっ!」
「じゃあ次は音ゲー。」
「はいはい…。」


(弟)
拓也奮闘中。
武富士激をVERSUSでDARK+片方SUDDEN掛け。
ことり、ポップンでHID-SUD掛けスキップEX。
ちとせ、BM弐寺でアンセムトランスプレイ。


(兄)
「だめだ、やる気失せた…。」
「凄いやりよう…。私もびっくり。」
「ダメだ、あんなの相手に出来ない…。」

「…、観覧車乗る?それとも…アレ?」
「アレはマジ勘弁。」
「何で?面白いのに。」
「俺無理…。」
でも。

…。
(弟)
「ことり、列間違えたんじゃないよね?」
「元芳君が並んだんでしょ?」
「まぁ、そうだが…。」

…。
(兄)
「お、俺戻っても良い?」
「だめ、一緒に乗るの。」
「だ、抱きつかれても困る…。」
「このまま離さないも〜ん。」
「誰か助けて…。」

…。
(弟)
「な、何でコレに乗ってるの?」
「お、オレが聞きたいわ!」

…。
(兄)
(げ、拓也も乗ってやがる…。隣は彼女か?)
「何してるの?行くよ?」
「か、勘弁して下さいまし…。」
「何がマシ?さっきの人も乗ってるんだから。」
「へー(棒読み)」

…。

「フォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!」
「死ぬーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(ry」
「落ちるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(ry」

…。
(兄)
「ダメ…死ぬ…。」
「何してるの、男でしょ?あの人見てよ、ちゃんと立ってるよ。」
「オレと一緒にしないでくれ…。」

…。
(弟)
「ことり…生きてるか…?」
「う、うん…。」

…。
(兄)
「あらま、抱きついちゃった。」
「…(orz)」

…。
観覧車。
(兄)
「なんだかんだでもう夕方、早いね…。」
「そうだね…。オレ疲れた。」
「情けない、私の彼氏失格かも。」
「…。」
「ま、それでも良いけどね。」

まもなく頂上。
「あ、あのさ…。ずっと言いたいことが有ったんだ…。」
「何?」
「オレ、ずっとさなと付き合って、で、楽しいことも悲しいことも有って…。」
「…。」
「でも、オレ、早苗と居る時間が1番幸せなんだ、何事にも代えられない幸せで、それで…だから…その…。」

…。
(弟)
「よし、その調子だ。」
何故か兄にマイクを仕掛けるプチ犯罪者元芳。
…。
(兄)
「…早く言ってくれると有り難いな。」
「その…、僕と結婚して下さい…。」
と、指輪を差し出す。」
「…ありがとう。もちろん、私も…幸せだから…。」

…。
(弟)
「上手く行ったみたいだ、オレ達の仕事は、後拍手で迎えてやるだけだ。」
「うん…。」

…。
(兄)
「さ、降りようか。」
「うん、誠二。」


と、表に出た。
パチパチパチパチ…。
周りから拍手の雨。
「拓也!何してるんだよ!」
「誰?」
「弟。だけど…。」
「おめでとう!」
周りのみんなが口々に言う。
「よし、胴上げだ!」
元芳、発狂。

…。
(弟)
少しさかのぼって…。
「有り難うございました〜」
「ちょっと良いですか?」
「はい?」
「4つ後のゴンドラが来たら、みんなで拍手して欲しいんです、結婚が決まったんで。」
「解りました…。」

…。
(兄)
「…いくら何でも急すぎるぞコラ。」
「コレ位しないとダメだろ。で、今日のディナーは予約しておいたからこの店行け…。」
と、こんな1日だったが、最高の1日を演出できたに違いない。

…。
(弟)
「俺達も行くか…。」
「うん。」


2に続く(こっちは元芳+ことりメイン)